SONYの戦略(1)

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  7/19のプレスリリースに依れば、ソニーはコニカミノルタとレンズ交換式デジタル一眼レフの共同開発に合意した。
 これにより、コニカミノルタからは交換レンズのαマウント規格とCCDシフト方式の手ぶれ補正機能およびAF/AE技術を、ソニーからはニコンへも供給している国内有数のCCD開発技術および「スタミナ」省電力技術に加え得意の超小型電子回路技術が活用される可能性が高い。

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 このニュースから私が考えることは、現在のデジタル一眼レフ市場は、キャノン・ニコン二大勢力により寡占状態にあり、オリンパス・コニカミノルタはかなりの減益による戦略の見直しを迫られている。一方コンパクトタイプ・デジタルカメラの分野では、商品はもはや目新しさに於いて限界を迎えつつある。高画質競争はもはや800万画素と一眼レフのそれを追い越してしまい、手ぶれ補正か高ISO機能、そして動画機能とありとあらゆる機能を搭載しつくした感がある。従ってこの市場も飽和状態となり、CCD供給メーカーであるソニーとしては新たな市場の開発に着手する必要が迫られたのだろう。

(付)デジカメジンの掲示板よりの情報で、αシリーズのズームはほとんどがタムロンのOEMで、そのタムロンはソニーが12%以上の株を保有。現在OEMでソニー富士フイルムのレンズを開発供給しているとのこと。

 ここで考察をしたいのだが、まずセンサーメーカーとしてのソニーの立場を考えると、現在のニコンをはじめとするキヤノン以外の主要デジタル一眼レフのセンサーを供給している立場もある。しかしここで、富士フイルムという存在が見え隠れする。デジタル一眼レフカメラの黎明期に、ニコンは富士フイルムと共同開発していたと言う経緯があるし、現在もFinepix S3ProのボディはD70系のものである。つまりセンサーメーカーとして、コンパクトタイプ・デジタルカメラ領域でライバル?である富士フィルムに対向する意味でも、またCCDセンサーを供給している領域を拡大する意味でも、ニコン以外のメーカーと手を組み共同開発することにより、より大きなシェアを獲得しようと考えたのではないか。

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 次に記録用メモリーとしての立場から、ソニーはかつて家庭用ビデオでそう(ベータ規格)だったように世界で唯一メモリースティックを採用するメーカーでもある。現在の市場では、プロ用&大容量はマイクロドライブに代表される小型ハードディスクとコンパクトフラッシュ、コンパクトタイプ・デジタルカメラではSDメモリーカードが主流になっている。そのSDカードでさえ、最近のデジタル一眼レフのエントリー機に採用する動きがある、となればますますメモリースティックはベータ規格の二の舞になりつつあるのだ。ソニーファンであればこそ、高価でしかも少数派のメモリースティックを容認してきたはずで(過去のソニーファンの立場からすればそうだ)、それが上位機種に使えないとなれば、もはや市場から消えていってもおかしくないであろう。そう言う意味で、是非エントリー機にも上位機種にもメモリースティックが使えることを一つのアピールとして使うことを切望したのだろう。
 最後にデジタル一眼レフにおける他社の戦略を簡単に見ると、もはや一人勝ちのキヤノンに関してはレンズは当然のこと、センサーまで自社開発しているメリットは当分動かない。一方ニコンは自社開発のLB-CASTが思わぬトラブルで、結局ソニーのCCDに頼ることになったし、KissD(N)対策でD50を投入したは良いが、(恐らくそれよりも廉価な機種も存在するであろうが)会社の規模もあり次の一手(D100後継機)に手が回らない可能性が高いと見る。そう言う意味で、キヤノンの後塵を拝することは残念ながら当分避けられないだろう。ペンタックスは小型化の独自路線を行ってるが、ニコン同様次の一手が難しい。普通に考えるならLXばりの高級カメラだが、体力的に望めないことは明白である。4/3規格で旗を振ったは良いが案の定誰も乗ってこなかったオリンパスは、かろうじて松下が共同開発に手を挙げた。しかし、小型化出来るはずのカメラボディが不要に肥満化したまま、魅力のないデザインと開発速度ではもはや誰も見向きもしなくなってしまう恐れがある。まあ、銀鉛の時代でもハーフ版はマイナーであったと言えばそれまでだし、OMの人気があったのも小型高性能+ニッチ分野へのシステム展開という企業の得意分野を生かせたからだが、小型でもなく、安くもない、しかもシステム展開も遅いんでは、いくら革新的なゴミ取り機能があってもそれだけだがから、生きる道が無くなるのも仕方ないかも知れない。コニカミノルタの売りはCCDシフト方式の手ぶれ補正機能だが、残念ながら開発が遅すぎだ。

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 散々苦言を述べたが、店頭でそれぞれのカメラを実際に手にとって見て覗いてシャッターを切ってみて欲しい。私のような素人でも、それぞれのカメラの特徴長所短所が感じることが出来る。特にキヤノン(1Dシリーズは別)・ニコン以外のカメラのファインダーの見やすさ・大きさは極めて良心的である。


 

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このページは、kimuraが2005年7月21日 10:45に書いたブログ記事です。

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